晴れの日読書録

読んだ本の感想をのんびりと書いていく読書録です。

『あのころの、』

あのころの、 [ 窪美澄 ]

価格:596円
(2016/11/15 23:22時点)
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瀧羽麻子「ぱりぱり」、加藤千恵「耳の中の水」、彩瀬まる「傘下の花」が印象に残りました。初読み作家さんが当たるのは嬉しいこと。

「耳の中の水」で耳鳴りですら同じように感じられないのを悲しいと思うくだりがあったけれど、今の私は自分だけの感情・感覚を慈しんでいきたいと思う。でもあのころは、確かに悲しみを感じる瞬間があった。加藤さん、歌人なだけあって一文で切なさをしぼり出すのが巧いです。

少しレズっ気のある「傘下の花」(少しではないか)、この作品がダントツに良かったです。個人的に、表紙の絵は八千代と慧子だと思っています。年の差恋愛や同性愛という若干の特殊さをはらんだ関係に、家族の鎖というリアルさが絶妙にマッチして作品全体の色をつくり上げています。